紙と皿のあいだ

本の感想とドールや猫の写真とか

読んだ本

記録しておかないと忘れる。
今回はマンガとラノベだけ。


アリスと蔵六(1) (RYU COMICS)

アリスと蔵六(1) (RYU COMICS)

やっと電書落ちしたので購入したところ、あまりに面白くて紙の方で続きを買ってしまった。(2,3巻はまだ読んでいない)

ミュータントの異能・強化人間少女が研究施設を脱走して……というお決まりのパターンの発端なんだけど、そのようなフィクションに地に足の付いた「良識」をぶつけたらどうなるのか?=現実のルールに即して超能力を考える、というかなり高度な思考実験を試みていて、メタSF的な意味で大変興味深い。
というか、そういうの抜きにして超面白い。
今井哲也自体、玄人筋からの評価が高いタイプの作家だと思いますが、もっと裾野の方のマンガ読者にも読まれるようになって、バンバン売れていって欲しいなと思う。


二冊目はヒロイン視点!
アウトローのサムライの仕事を通して世界観の深みへ潜る!!!
一冊目はベタすぎねえ?という感想だったものの、ここまで突き詰めると「これだよこれ!」とオッサンは唸るしかない。
これぞ和製サイバーパンク!という、シャドウランなどのTRPGのマニュアルやサプリメントを美味しく摂取していた層には直球なんじゃないだろうか。
いかにもノベライズゲーム出身ライターらしいクドい文章もそれはそれで個性であり、またジャックインして脳内に直接流し込まれているような揉んで味わいも何もないエクストリームなのであると解釈すれば、決して短所にはならないのです。


スニーキーレッド (onBLUE comics)

スニーキーレッド (onBLUE comics)

表紙にピピン!と来て電書落ちを待っていた(このパターンが多すぎる)BLマンガ。
インスピレーションは間違っておらず、本編もそのまんまの絵で展開されていたため表紙詐欺は免れた。
DVと暴力描写が云々とあらすじに書かれていたのでそこそこ重い話かと想像していたのだけれど、これもまた絵柄にふさわしいポップさで、想像通りのハートフルなものだったので大満足。
マンガ家としての底力もありそうなので、このまま佳作なカルト系作家としてもてはやされていくのか、モーニングあたりがピックアップして大舞台に踊り出すのか将来が楽しみ。
ともあれ、大当たりの一冊。


イベリコ豚と恋と椿。 (GUSH COMICS)

イベリコ豚と恋と椿。 (GUSH COMICS)

デパ地下で購入したイベリコ豚の弁当が超マズかったとTwitterで嘆いていたら、(酔っ払った)BLソムリエが反応してきたのがキッカケでポチッた一冊。
コンテを査読しているような気分になるコマ割りが大変読みにくいのだが、作者の熱情が先天性の才能によって開陳され技術はまったく追いついていないのに読めてしまう、という絵に描いたような大手同人作家の作品を久々に読んだというような感じである意味、気持ちよかった。
ショタコンの食指には一切触れないので萌えはないんだけど、元々BLにはそういうのあんまり期待していないし「やおい(JUNE)って本来こういうものだったよね」という琴線に触れたという意味では興味深い読書体験だった。
Twitterでもいろいろ感想を述べた上で「褒めてないけど面白い」という言葉で結んだところ、BLソムリエから「すごいわかる」という返信をもらったので、この作者に対する感想としては的外れではない模様。


ミキの放課後 (ミリオンコミックス)

ミキの放課後 (ミリオンコミックス)

半額セールになっていたのでポチった男の娘もの。(書いてないけど、BLコミックスもみな40%オフくらいになっていた)
BLジャンルの芳醇かつ高レベルなマンガの間に挟んで読むと悲しくなってくるような出来ではあるんだけれど、ヒロインが可愛いのでマンガとしての出来不出来などは割とどうでもよくなってくるから属性って大事ですね……。
男の娘マンガとして見てもそんなに面白い訳じゃないんだけど、あえていうなら相手役の男キャラ2名も(ボーイズとして)ショタ可愛かったのがポイントが高かったです。


川果町よろづ奇縁譚 (onBLUE comics)

川果町よろづ奇縁譚 (onBLUE comics)

この作者の「魔女と猫の話」というコミックスが気になっているんだけれど、いっこうに電書化されないので半額セールにもなっていたこっちを購入。
物の怪っぽいすこし不思議な力を持った人たちが普通に登場してくる世界観。ふんわか妖怪もの?とでもいうべきなんだろうか、ストーリーがある日常系というか、少女漫画にはよくある優しい世界観というやつ。
前回の「BLを読んでみよう週刊」の時に購入した雑誌で連載していたうちの一作だということに途中で気づいた。*1
サラッと読んだだけで記憶していたくらいなので、それだけでも面白いのは確かだったんだが、まとめて読むとかなり面白い。というか、描き手としてかなり上手い。一冊にまとめた時の構成と読み切り短編としてのストーリーが両立しており、絵も台詞まわしもうまいわ、キャラ立ちもしっかりしているわ、雰囲気もあるわで、えらい達者。
すでに非BLレーベルからも作品発表していることから考えて、今後どんどん名を売っていきそうな漫画家として覚えた。
BL色はそこまで強くなく、女の子はほとんど出てこないけどそのぶん男の子が可愛いので、ほんわか少女漫画が好きな人には普通にオススメです。

*1:その雑誌に掲載されていた作品はどれもレベルが高く読ませるものばかりだったんだが、どれもこれも絵が似ていて素人には見分けが付かないという難点が……。