紙と皿のあいだ

本の感想とドールや猫の写真とか

8月以後に読んだ本

相変わらずコミックばかりです。
期間の長さにしては少なめ。


キュロテ 世界の偉大な15人の女性たち

キュロテ 世界の偉大な15人の女性たち

世界の偉大な女性達の人生を描いたフレンチコミック。
ヒゲの生えた女性から世界初の人口性反転手術を受けた女性、ネイティブアメリカンの闘士に中国の女皇帝、南米で反政府活動をして暗殺された姉妹、レズビアンの漫画家(ムーミンの作者)まで広い世界はなんでもアリすぎ。読むと元気が出て来る。


エロイーズ (本当のワタシを探して)

エロイーズ (本当のワタシを探して)

↑と同作者。パリのど真ん中で突然、自分が記憶喪失だということに気づいた女性の物語。
都市でひとり生きるアラサー女子の寂しさやら心細さやらのセンシティブで切実なものがめいいっぱい詰まっている。
でもそれだけではなく、目にうつるもの全てが新しいものに激変した時、身の回りにある物事のディテールがくっきりと浮かび上がってくるという体験そのものが、すっげー可愛い絵として具体化されていて、めっちゃくっちゃにキュート。
主人公はかつての自分であろう人物の趣味を皮肉るが、あの部屋めちゃくちゃ住み心地よさそうだし可愛いし、彼女めっちゃ頑張ってるやん……!(掃除とか)そしてなにより飼い猫の可愛らしさといったら……!体がめっちゃ柔らかそうで手を伸ばして触りたいたまらん。
記憶をなくした主人公が(実はこうだったんじゃ?)とところどころで炸裂させる妄想もユーモラスで面白いです。
でもやっぱり絵の持つ力とユーモアだよなぁ。傑作。

archive.j-mediaarts.jp
www.penelope-jolicoeur.com
作者のサイトもかわいい。日本語展開も13年頃に試みていたらしいんだが、現在は軒並み休止中で惜しい。




サトコとナダ(1) (星海社コミックス)

サトコとナダ(1) (星海社コミックス)

アメリカ留学した日本人女子とイスラム圏女子の異文化交流ルームシェア四コマ。大変よい。
作者があの人だと聞いて驚いた。


大きい犬 (torch comics)

大きい犬 (torch comics)

当然のようによい短編集。執筆時期にバラつきがある。
to-ti.in



惑星クローゼット  (1) (バーズコミックス)

惑星クローゼット (1) (バーズコミックス)

眠ると異世界に急に飛ばされてしまうが戻れる女子と行ったっきりになってしまった女子のコンビのSF冒険譚。
つばなはこの作風のまま(変えようとして変わるものでもなさそうだが)もっと売れますように。


短編集。


ねぇ、ママ (A.L.C.DX)

ねぇ、ママ (A.L.C.DX)

言わずもながによい。「母」を巡る連作。


AIの遺電子 8 (少年チャンピオン・コミックス)

AIの遺電子 8 (少年チャンピオン・コミックス)

傑作SFマンガだった。週刊連載は8巻まででひとまず終了。
今後は月刊誌ベースで先生の過去にまつわるハードな物語が展開されるとのこと。

押井守との対談がめっちゃ面白いので必読です。
originalnews.nico


まあこうなるよな。
この作者、恋愛(と女の子)関連の描写だけどうにもこなれないのが解消されれば文句ないんだけど……といつも文句を言っていてごめんね……。


胃袋から攻略していく系のヤンキーマンガ。
不良がメチャウマな弁当を作り同高のやつらの胃袋をゲットしていくという粗筋なのですが、めちゃくちゃ可愛いのでもっと女子にも広く読まれるべきだと思う。(明らかにターゲット圏内に設定されている)
もちろんグルメマンガとしても楽しいです。


錆のゆめ 上 (cannaコミックス)

錆のゆめ 上 (cannaコミックス)

人間をロボトミー化してセクサロイドに仕立てる機関に就職した理系リーマン男子と検体ショタとのBL。
かわいいが始終ふわふわしているだけでもあり、下巻はますますふわふわらしいので読んでいない。
すげえ鬼畜設定なのでそっち突き詰めた方が面白いのではと思いましたが需要がないんですかね。


最近のヤマシタトモコは天才なのでは?案件その1。


花とアリス殺人事件」のロトスコープアニメーションディレクターをやっていたアニメーターのマンガ作品。と聞いて読んでみた。
絵は随一と言ってよく、コマ割りも丁寧で悪くなかったんだけど、現時点で話の内容をまったく思い出せない。いかにもビームコミックという感じのマンガだった。(という記憶)
でも絵だけでも100点満点だったら全体で70点みたいなもんだよね。

花とアリス殺人事件』の方は間違いなく傑作アニメ映画なので見てなかったって人はお正月にでも見て。


鳥打ちも夜更けには

鳥打ちも夜更けには

観光名物となる蝶を主食にしている鳥を吹き矢で撃つことを職業とする「鳥打ち」の幻想小説
とても良かった💮


淡島百景 2

淡島百景 2

『どうにかなる日々』からつながる話がこの年に読めるとは思わなかった。
この人のマンガはひそかに何人もの人生を変えているんじゃないかな。


ユリイカ志村貴子特集も買ったよ。『敷居の住人』のどうにもならない出口の見えない青春は時代の空気そのものだったと思う。


この人のSF作品、ル・グィンの作品と並ぶレベルの世界の密度と深さが共存していると思うんですけど。


こどものあそび (FEEL COMICS)

こどものあそび (FEEL COMICS)

田舎の小学生が東京でバーのママをやり漫画家デビューするまで。
出版社セールをやっていたときに引っ掛けた。作者の自伝的作品というので読んだんだけど、深く深く納得。
身長180cmある女の子が自分より身長の高いボーイッシュな子に出会って恋をしてしまうという展開が南Q太の絵で南Q太のマンガで読めるという幸せ……!


楽園 Le Paradis 第19号

楽園 Le Paradis 第19号

楽園 Le Paradis 第1号

楽園 Le Paradis 第1号

楽園 Le Paradis 第10号

楽園 Le Paradis 第10号

楽園 Le Paradis 第13号

楽園 Le Paradis 第13号

定期的にタダ読みさせていただいているシリーズ。


web 連載されていた中学生ゲイコミックの商業リメイク。展開やキャラクタの設定などが変化している。
男の子は正直、原作者の絵が最高によかったので比較して物足りなく感じてしまうんだけど、リメイクの作者は若手らしいので連載を重ねるごとに上達していくんじゃないかなという期待がある。
と思って最新回みてみたら十分可愛いですね……すまんかった。

そらいろフラッター
↑原作

comic.pixiv.net
↑リメイク版web連載

kai-you.net


青春を山に賭けて

青春を山に賭けて

五大陸の最高峰を単独登頂した冒険家のエッセイ。
大学の登山部に入って山登りを始めた時の体験から始まり、青春時代をまるごと山に費やした、その情熱とバイタリティが素晴らしく面白い。
間違いなく話は盛られているんだけど、こんな調子で語られたらそりゃ間違いなく支援しちゃうよなあという人柄の良さが文章の端々から感じられてめっちゃ楽しいです。
中高生の頃に読んだら人生を踏み外してしまう危険な本かもしれない。(大人が読んでももちろん楽しい)


一気読み推奨。


人生。


学生の頃に度々感じた「はぁ?何言ってんのこいつ?」のあの感覚を思い出した。
結論の先にあるものの方が大事だろうが舐めんなさっさと話を進めろというあの感覚……。


グレゴリ青山は古本屋エッセイで知りいっぺんにファンになったのだが、その後の作品を追いかけるなどはしていなかったので、まさかフィギュアスケートの本を出しているとはと驚いた。
ハマる切っ掛けから海外遠征まで、とことんファン目線で面白いです。


警察ものって政治が絡むからかともかく展開がゆっくりだよな……。
これだけの人数が出演しているのにキャラクタ一人一人が埋もれていないのはさすが。


不条理。


名前呼びになる巻。

この前、ニコニコ動画が10周年とのことで10年前に放映されていたアニメの無料公開をやっていて全話見直したんだけど、やっぱりアニメもめっちゃ面白かった。
あの頃は視聴前まで壺のスレで語り合い、TV放映とともに実況板に移り、終わると元スレに舞い戻り、寝て起きるとニコに不法アップロードされているので視聴する(グレーゾーン)みたいなサイクルでしたね……。


死霊との恋。
間違いなく、今いちばん面白いマンガのひとつ。


最新巻読んでないな。


ゲイカップルの片方が急に小学生くらいにまで若返ってしまい大変!というお話。
元彼の存在やらカムアウトしてない弟やらが絡んできてしまい大変が大変に。志村貴子のショタはやはり最高によいです。


しずかに時の流れゆく。


キリング・ゲーム (文春文庫)

キリング・ゲーム (文春文庫)

閑話休題感。
救われない。


安くなっていたので購入。残りも次のセールでまとめ買いしたけど、まだ1巻しか読んでいない。
猫好きで有名な少女漫画家が多頭飼いにたどり着く話になるのかな。猫エッセイはタイトルを変えながらも現在も続いている模様。
大島弓子は日本マンガ界の宝玉だよ。


今回も最の高。
つづ井さんの初夢体験がビスケットというのが業が深い……。


comic.pixiv.net
単純にギャグマンガとして滅多にないキレ味を誇る面白い作品なので、絵柄とテーマがちょっと……とかで倦厭している人は一度読んでみて欲しい。


パリの国連で夢を食う。 (幻冬舎文庫)

パリの国連で夢を食う。 (幻冬舎文庫)

パリの国連の募集に応募したら受かったのでパリで生活したというエッセイ。
場所よりも職場の特殊性にスポットがあたっていて面白かったです。パリの話もあるんだけどね。


今日の人生

今日の人生

こういうのも日常系というのだろうか。
エッセイ4コママンガ。人生。
良書です。


先日、完結したとのこと。コミックス派なので続きが楽しみ。


読んでいる時、90年代の名作OVAを視聴していた時と同じ感覚になっている。頭の中で制作されているアニメが勝手にカラー化され再生されているんだよな。
マンガなのにアニメ的なものを得ている。不思議。


オーソドックスな状況ではないオーソドックスな形をした悲劇。


美しい。


まんがうまいね。


空想ステラ 第1話 (コミックジンガイ)

空想ステラ 第1話 (コミックジンガイ)

こういう分割販売ってマンガ自体への評価を下げるからやめた方がいいと思う。


テレビに出演している作者が最高すぎるので見てください。サムネイルの人じゃないよ。作者は女性だよ。

アフターセブンルール/~米代恭が描いた番組オリジナル漫画~編

  1. 早寝超早起き
  2. 他人の恋愛を漫画に生かす
  3. お昼ごはんはファミチキと納豆巻き
  4. 靴は1足しか持たない
  5. 遊びの約束は月3回まで(金城さんはのぞく)
  6. 瞳に心を描く
  7. 金城さんに面白いと思ってもらえるものを描く

「漫画家にはこうあって欲しい」という読者の願望が結晶化したかのようじゃないか……。

kai-you.net
この対談も面白いのでどうぞ。


凪のお暇 1 (A.L.C. DX)

凪のお暇 1 (A.L.C. DX)

たまに Amazon からオススメされていたんだけど、それとは気づかず cake でお試しページを開き、面白かったのでいいところまで読み進めてしまったので。
元彼がクズ男どころではなく最悪のモラハラをかましてくるところとか最高です。
cakes.mu


タダだったので。
グルメマンガにしては壊滅的にメシが美味そうに見えないのだが、少女漫画独特の猛烈なペースで読ませてしまうので後味は悪くないです。
ゲイの描写がかなり前時代的で、たぶん知り合いやゲイバーやらイベントやらで出会った人の印象から(だけで)なんだろうな……という感じなんですが、当人のフォビアでなく「世間一般の常識」の反映から来ているものとわかるのでまあこんなもんかなーとも思う。


アセクシャルらでコミュニティ作って暮らそうぜと言ってた人らがある事件で死亡し、彼らのルポタージュ追悼記事を作るべく取材を続ける新聞記者2名の話。
今のところ面白くテーマも興味深いのだが、この作者には「MAMA」で一度裏切られているので懐疑的にならざるをえない。
そのうち続き読む。


タダだったので。


ビアンもの。ハッピーエンドとバッドエンド。


ピンヒールははかない (幻冬舎単行本)

ピンヒールははかない (幻冬舎単行本)

『ヒップな生活革命』などの著者によるエッセイ。webマガジン『温度』の植本一子との対談が面白すぎて買った。
全体的に生きることへのガッツについての話だと感じた。良かったです。
ondo-books.com
植本一子の方は積んでる本があるんで、そっち読んでから……。


ワクワク月訪問。

オレンジのアニメすごいよかったですね〜〜〜〜。

新しい仕事

新しい仕事


あちらこちらぼくら 2 (ビッグコミックススペシャル)

あちらこちらぼくら 2 (ビッグコミックススペシャル)

スマートにかわいいがヤンキー臭もすげえ。


盛り上げる盛り上げる。


少女小説家の叔母と親を亡くした中学生女子の共同生活。とてもいい。
ヤマシタトモコは天才その2。


ヤマシタトモコは天才……と思い、セールになっていたところをポチったんですが、「最近の」が頭につくかもしれないと思った。
これはこれで近親からの児童性虐待という切実なテーマを描き出してはいるんだけれど、今よりも絵が拙いし、今ならばもっと洗練された形になるのだろうなと予測がつく。
これはこれでいいんですけども。


れもん、よむもん!

れもん、よむもん!

Twitter でうろ覚えのエッセイマンガについてモヤモヤ呟いていたら yomyom 公式アカウントからこれでは?と reply が飛んできた&同作者のweb花椿連載作品『ダルちゃん』がスマッシュヒット=でポチった。
中盤から筆が乗ってきたなというところで終わってしまうので読み足りない。連載を終わらせた編集者はダメです。(が、掲載元がマンガ雑誌じゃないから仕方ないか)
hanatsubaki.shiseidogroup.jp
なんとダルちゃんが詩に辿りついたぞ!花椿だ!!!!!!!!!!!(あの頃の花椿大好きっ子)


カクヨムの連載とはまったく違った内容に仕上がっている。ガガガ文庫が拾うあたりが巡り合わせですね。
星海社の話はめっちゃ笑った。


webで読んだときよりも展開がほぐされててアフタだ〜〜という読み心地になっている。
でもこの本なんか薄い気がするんですけど……。


コスパよすぎた。


イギリス派遣先で再会した元同級生が出来てしまう話。
心情のリアルさ、たいへんよし。


あなたの人生の物語

あなたの人生の物語

再読。
バベルの塔の建設の話がやっぱりめっちゃ好き。映画はシナリオをだいぶ変更してるんだな。
はやく第2短編集ください……。


三好銀はイラスト提供程度かと思っていたら、毎回ショートショートを書き下ろしていて予想外の満足を得た。


完結。
主役ふたりのその後はなんとなく予測できるけど、残り二人はどんな人生を歩むのかさっぱり見えない。(そこが悪いという意味ではまったくない)


HER (FEEL COMICS)

HER (FEEL COMICS)

ヤマシタトモコは天才。案件その3。


影裏 第157回芥川賞受賞

影裏 第157回芥川賞受賞

友人といるときは男性、それ以外のシーンは女性の顔で思い浮かぶ。
土地勘がある舞台だったので情感がたっぷり受け取れてよかった。
個人的にはかなり胸クソ話なんだけど、恋とはままならないもんだよな。


人魚とビスケット (創元推理文庫)

人魚とビスケット (創元推理文庫)

人魚男の娘説を最後まで推してたんですけどね……。


浪費図鑑―悪友たちのないしょ話― (コミックス単行本)

浪費図鑑―悪友たちのないしょ話― (コミックス単行本)

同人誌版の方が面白かったという感想。


あたらしいひふ (Feelコミックス FC SWING)

あたらしいひふ (Feelコミックス FC SWING)

服にまつわるエトセトラ。


A子さんの恋人 4巻 (ハルタコミックス)

A子さんの恋人 4巻 (ハルタコミックス)

この人は電書販売NGなので紙で買うしかなく。


アニパロ/二次創作ものに限らない、むしろそれ以外のものをメイン同人誌についての本。
昔持っていたフリーペーパーやサブカルミニコミコミティアで買ってた同人誌や、父母のアングラ蔵書がチラホラ出てきて楽しい。


スプラトゥーン2 イカすアートブック

スプラトゥーン2 イカすアートブック

スプラトゥーンのアートワークブック。文句なしの最高。


トイレに置く系。明瞭でよい。


美しい日本のくせ字

美しい日本のくせ字

名著。
フリーハンドの書体収集家である著者が、詳細な解説と共に著名無名に限らない様々なタイプのくせ字を紹介していく。
まだDTPが普及していなかった頃の手描きフォントについてのインタビューなどの読み物もあり、ボリューム満点で最高の一冊です。

pie.co.jp

この字、誰の字? 目次

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早稲田文学増刊 女性号 (単行本)

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再版がかかって容易に入手できるようになった。
本読みにはマストな一冊です。読み応えばっちり初訳もたっぷりで大満足。